創業融資の基本!創業計画書の書き方について解説

新たに事業を始めようとするときに日本政策金融公庫からの融資を検討している場合、重要となるのが「創業計画書」です。
この創業計画書は単なる申請書類ではなく、ご自身の事業に対する情熱、実現可能性、そして将来性を日本政策金融公庫へアピールするための事業の羅針盤ともいえるでしょう。

本コラムでは、日本政策金融公庫での創業融資を受けるうえで不可欠な創業計画書の書き方のポイントについて解説していきます。

創業計画書の重要性

創業計画書は、事業の全体像を体系的にまとめた書類です。
創業の動機、経営者の経歴、商品サービス内容、市場分析、資金計画、そして事業の見通しまで多岐にわたる情報を盛り込みます。
この事業計画書を通して次の点をアピールします。

経営者の能力と熱量

事業を成功させるために必要な経験やスキル、そして強い意志を持っているかをアピールします。
これまでの職務経験や取得資格、そして事業にかける情熱やビジョンが評価されます。

事業の実現可能性

計画しているビジネスアイデアが現実的に成功する見込みがあるか、市場のニーズがあるのか、競合との差別化が図れているのか、具体的な販売戦略があるのかなどをアピールします。

資金の妥当性と返済能力

必要な資金が適切に計算されており、計画通りに借入した資金を返済できる見込みがあるかをアピールします。
自己資金の額や、売上予測、経費の見込みなどから算出される利益で、無理なく返済できる計画であるかが重視されます。

各項目の書き方のポイント

創業計画書の各項目について、書き方のポイントを詳細にみていきましょう。

1.創業の動機

創業にあたって、事業に対する思いや、事業を始めようと思った動機などを具体的に記載し、本気度をアピールします。
 ・社会課題の解決
 ・顧客のニーズ
 ・自身の経験
 ・情熱とビジョン
上記4つを意識して記述すると、事業への深い理解と情熱を伝えることができるでしょう。

2.経営者の略歴等

自身のこれまでの経歴や、身につけてきたスキルを具体的に記述する重要な項目です。
特に事業に関連する職務経験や役職、培った専門知識や人脈などがあれば、強いアピールポイントになります。
もし関連する経験等が少ない場合は、これまでの経験が今回新たに挑戦する事業にどう活かせるのかを説明すると良いでしょう。

3.取扱商品・サービス

取り扱う商品やサービスの内容、セールスポイントやターゲット層などについて詳細を記述します。
この項目は、自身のビジネスモデルを理解してもらう上で非常に重要です。
競合との差別化が明確で、現実的な販売戦略が描かれていることが評価のポイントとなります。

4.従業員

創業時に雇用を予定している従業員数について記載します。
従業員の雇用は、事業の成長意欲を示す要素になりますが、同時に人件費というコストも発生するため、適切な人員計画を立てることが重要です。

5.取引先・取引関係等

開始する事業における主な販売先、仕入先、外注先について記載します。
取引先のシェア欄には、各取引先が全体取引に占める割合を記載します。
特定の取引先に依存しすぎている場合にはリスクが高いと判断される可能性もあるため、取引先の分散についても検討が必要です。
また、掛け取引の割合や回収支払いの条件などを具体的に示すことにより、資金繰りの計画がより明確になります。
信頼できる取引先との安定した関係性は、事業の安定性を示す重要な要素となります。

6.関連企業

申込人やその配偶者の方が経営している企業がある場合に記載します。
ここでは事業の関連性や経営者の全体像を把握するために記載が求められています。

7.お借入れの状況

現在のお借入状況について、個人名義の借入も含めて正確に記載します。
住宅ローン、自動車ローン、カードローン、消費者金融からの借入など、使用先、借入残高、年間の返済額を明確にします。
日本政策金融公庫では信用情報を照会するため、計画書の内容と照会内容が一致するように記載しましょう。

8.必要な資金と調達方法

創業するにあたり、「いくらの資金が必要」で「必要な資金をどのように調達するか」を記載します。
この項目は、創業計画書の中でも特に重要な部分であり、自身の資金計画の妥当性を示す根拠となります。

必要な資金

店舗、工場、機械、車両など、事業に必要な設備にかかる費用を具体的に記載します。
設備にかかる費用については、見積書や物件の資料などを準備し、すべての数字について根拠に基づいて記載することが重要です。
また、運転資金として商品仕入れや経費支払い、人件費などの継続的に発生する費用については、創業から軌道に乗るまでの数か月間の具体的な金額を算出しましょう。

調達の方法

資金の調達方法における自己資金はできるだけ多い方が金融機関からの信用度が高くなり、融資の審査が有利になります。
親族等から借入を行う場合には、その内訳と返済方法を明確に記載します。
また、「必要な資金」と「調達の方法」の合計額は必ず一致させるようにしましょう。

9.事業の見通し(月平均)

創業当初と事業が軌道に乗った後で事業の収支がどのように推移するのかを説明する項目で、計画書の中でも最も重要な項目といえるでしょう。
売上高や経費などの計算根拠は非常に重要であるため、単なる希望的観測ではなく具体的なデータ(市場調査、競合他社の売上、過去の経験など)に基づいた現実的な数字を記載するようにしましょう。

10.自由記述欄

この項目では、これまでの項目で書ききれなかった事業への熱意や自身の強み、事業に対する思いを存分にアピールしましょう。

創業計画書に加えて作成すると良い書類

日本政策金融公庫での融資を申し込むときに、創業計画書の根拠を示すための書類を別紙にまとめるとより一層説得力が増し、有利になる可能性があります。

その中でも用意すると良い書類を4つご紹介します。

月別収支計画書

月別収支計画書とは、月別に売上高や経費がどのように推移していくのかを予測し、月別の利益または損失を示す書類です。
資金の流れを具体的に把握し、収益性の見込みをたてることができます。

資金繰り計画書

資金繰り計画書とは、事業における毎月の現金の出入り(キャッシュフロー)や借入の返済計画等を示す書類です。
事業を継続していくうえで、いくらの現金が手元に必要かを把握するために役立ちます。

市場調査の資料

市場調査資料とは、地域のニーズやライバルとなる事業所等の状況を詳細にまとめたもので、事業の実現可能性を裏付けるために重要な情報となり、創業計画書の信憑性を高めます。
必要に応じてグラフや写真などを利用してわかりやすくまとめましょう。

サービスの詳細資料

サービスの詳細資料とは、創業計画書の「取扱商品・サービス」項目で記述した内容をさらに深掘りし、提供するサービスや商品の具体的な価値や特徴を明確に伝えるための資料です。
日本政策金融公庫の担当者が事業内容を具体的に理解し、その魅力を評価するうえで非常に重要です。

まとめ

ここまで創業計画書の書き方のポイントについて解説しました。
創業計画書は、事業を行ううえでの「設計図」であり、これをどれだけ具体的に、かつ、説得力を持って記述できるかが融資成功の鍵を握ります。
丁寧かつ論理的に作成することで、日本政策金融公庫の担当者からの信頼を得ることができ、事業の成功確率を高めることにも繋がるでしょう。
また、創業計画書を作成する過程を通じて、今後のビジネスモデルがより明確になり、成功への道筋がより鮮明に見えてくるはずです。
もし作成に不安がある場合には、税理士などの専門家のアドバイスを積極的に活用することも検討してみてはいかがでしょうか。

当センターでは、創業計画書の作成や日本政策金融公庫への融資申し込み手続きなどのサポートを行っております。
さらに創業後の手続き、会計ソフトへの入力や税務申告等、ご相談者様が経営に専念できるような様々なサービスを提供しております。
ご相談やお見積りは無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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