介護事業を開業するには?開業までに必要な手続きと費用について解説

近年の高齢化社会において、65歳以上の高齢者人口は年々上昇しています。
今後もこの傾向は続くと予測されており、介護サービスの需要が急増することが見込まれています。
介護事業の開業を検討している方の中には、開業するためにはどのような準備が必要なのか、どれくらいの費用がかかるのか、どこに相談したら良いのか、などの不安や疑問を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事では介護事業を開業するときに必要な手続きや費用について解説します。

介護事業を開業するための手続き

介護事業を開業するためには、自治体から介護保険の適用事業者として「指定」を受ける必要があります。
さらに介護事業所としての「指定」を受け、実際に開業し経営していくためには、入念な事前準備と介護事業についての正しい知識を身につけておくことが大切です。
手続きは介護サービスの内容等によって異なるため、ここでは介護事業開業について共通する事項についてご紹介します。

手続きの流れ

①介護事業サービスの内容を決める

介護事業を開業するにあたり、どの介護サービスを提供するのかを検討し決定します。
サービス内容ごとに必要となる人員や設備的要件が異なりますので、事前に申請先行政機関を確認し、準備を進めていく必要があります。

代表的なサービス例

・訪問介護(ホームヘルプ)
訪問介護とは、要介護者がご自宅で安心して暮らせるよう訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問し、食事・入浴・排泄などの身体介護や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活支援、病院への送迎や通院中の付き添いなどの日常生活上のお世話を行うサービスです。

・居宅介護支援
居宅介護支援とは、要介護者がご自宅で安心して暮らせるように専門家(ケアマネジャー)がその方の心身状況や生活環境に応じた介護サービス計画(ケアプラン)を作成し、適切なサービスが受けられるようにサポートするサービスです。

・通所介護(デイサービス)
通所介護とは、要介護者が通所介護の施設に通い、食事や入浴などの生活支援や、生活機能向上のための機能訓練などの専門的なケアを日帰りで提供するサービスです。
施設内で高齢者同士の交流もあり、自宅から施設までの送迎も行います。

・通所リハビリテーション(デイケア)
通所リハビリテーションとは、要介護者がリハビリ施設に通い、食事や入浴などの生活支援や、理学療法士や作業療法士などの専門職によるリハビリテーションを提供するサービスです。

・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
介護老人福祉施設とは、要介護者のための生活施設です。
食事や入浴などの生活支援や機能訓練、健康管理や療養上の世話などのサポートを提供します。

・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
認知症対応型共同生活介護とは、認知症である高齢者がグループホームに入所し、介護スタッフとともに共同生活を送りながら、生活支援や機能訓練などの専門的なケアを提供するサービスです。

事前準備を行う

介護事業を開業する事前準備として、事業の開始時期やサービス提供の地域などを検討し、事業計画書を作成します。
開業のための資金の融資を検討している場合にはこの「事業計画書」がとても重要となります。詳しくは《介護事業を開業するときに利用できる融資制度や事業計画書の書き方について解説》をご覧ください。
さらに指定許可(事業内容)ごとに人員要件や設備要件を確認したうえで、人員の確保や設備等の準備を行う必要があります。

「指定申請」に必要な条件を確認する

介護事業のサービス内容とサービス提供地域が決まれば、その地域の自治体に「指定申請」に必要な条件を確認します。
介護事業所としての指定を受けるためには「法人であること」「指定基準を満たしていること」「役員等が欠格事由に該当しないこと」などを満たす必要があります。

法人を設立する

介護事業所の指定を申請するためには法人格が必要となります。
法人形態は「営利法人」と「非営利法人」があり、どちらの形態でも介護事業の設立が可能です。
法人格の種類によって設立にかかる費用や期間が異なるため、事前にスケジュールを確認しておきましょう。

・営利法人
株式会社、合同会社など

・非営利法人
社会福祉法人、一般社団法人、NPO法人など

また、法人設立後には税務署等へ法人設立届などの書類を提出する必要があります。
提出期限は法人設立の日から2ヶ月以内となっています。

「指定申請」の準備を行う

指定申請を受けるための要件として「指定基準」を満たす必要があります。
この指定基準は介護事業サービスの内容によって異なりますが、一般的には「①設備基準」「②人員基準」「③運営基準」の3つに分けられます。

設備基準

設備基準とは、事業を運営するために用意しなければならない最低限の設備に関する基準のことです。
介護サービスの種類ごとに必要となる設備の整備を行いましょう。
一般的には以下のような設備が必要となります。

・事務室
職員が業務を行うためのスペース

・相談室
利用者や家族との相談を行うためのスペース

・浴室、トイレ、洗面所
利用者や職員が使用する水回り設備

・静養室
利用者が休息できるスペース

・食堂
食事の提供を行うためのスペース

・非常用設備
火災報知機、消火器など

人員基準

人員基準とは、事業所等に配置しなければならない介護福祉士や看護師などの必要な資格と必要な職員の数を定めた基準のことです。
介護事業所を開業するためには、指定の資格を持ったサービス提供責任者が必要です。
サービス提供責任者になるためには、以下のうちどれかの資格を保有している必要があります。

・介護福祉士

・保健師

・実務者研修修了者

・介護職員基礎研修修了者

・ホームヘルパー1級修了者

さらに配置基準(人数)を満たすようにスタッフを確保しましょう。

運営基準

運営基準とは、事業所が適切なサービスを提供するために守らなければならない厚生労働省が定めているルールのことです。
定められている運用基準は多岐にわたり、さらには介護サービスの種類ごとに内容が異なるため、詳細については申請先行政機関へご確認ください。
参考として一部の内容を掲載します。

・内容及び手続きの説明及び同意

サービス提供困難時の対応

サービス提供の記録

介護保険施設サービスの取扱方針

施設サービス計画の作成

運営規定

非常災害対策

苦情処理

虐待の防止  など

指定時研修の受講

介護事業所の指定申請を行うには、サービス提供責任者は指定時研修の受講が必要です。
研修開催のスケジュールは自治体によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。

指定申請書類の作成・提出

事前準備が整ったら、指定申請書類の作成・提出を行います。
指定申請に必要な書類は、サービス内容ごとに異なりますので、詳細については行政機関へ確認してください。
必ず準備が必要となる書類は以下の通りです。

・指定申請書

・法人登記簿謄本、定款

・事業所の平面図

介護事業を開業するために必要な費用

介護事業所を開業するために必要な費用は、介護サービス内容や規模等によって異なりますが、約200万円~1,000万円以上必要になると言われています。

開業費用一覧

・法人設立費用
登記費用、登録免許税、定款認証費用など

・事業所施設費用
事業所の賃貸料、初期費用など

・事業所の設備費用
内装・改装費、設備・備品購入費など

・人件費
求人広告費

・指定申請費用
申請手数料など

・保険料、保証料
賠償責任保険、火災保険など

運用に係る費用一覧

・人件費

・事業所賃料

・水道光熱費

・備品等リース料

・施設の維持管理費  など

まとめ

ここまで介護事業を開業するための手続きや必要な資金について解説してきました。
介護事業は今後需要の増加が見込まれる業界ではありますが、事業を成功させるためには入念な計画と準備が必要不可欠です。
知識や準備が不足したまま開業することがないように、一連の手順を正しく理解し、準備を進めましょう。

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ご相談やお見積りは無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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