葬儀社を開業するときに作成する事業計画書(創業計画書)の書き方は?項目別の詳細について解説
近年の高齢化社会において、65歳以上の高齢化率は年々上昇しています。
それに伴い、国内の死亡者数も増加しており、葬儀社の需要は高まっていると言えます。
しかし「家族葬」や「一日葬」といった小規模でシンプルな葬儀が主流となりつつあり、葬儀1件あたりの平均単価は減少しているのが現状です。
さらに葬儀社を開業するために必要となる免許や資格がなく、比較的参入しやすい業界でもあるため、異業種からの大手企業による新規参入が進み、価格競争が激化しています。
その結果、小規模な葬儀社にとっては厳しい状況となることが予想されます。
そういった環境の中で葬儀社の開業を成功させるためには、事前の準備が最も重要です。
今回のコラムでは開業準備の中でも特に重要となる「事業計画書」について解説していきます。
事業計画書
事業計画書とは、これから始める事業の内容や目標、目標を達成するためにどういった行動をするのか、どのくらいの利益が見込めるのかといった数値を具体的にまとめたものです。
葬儀社を開業するにあたって事業計画書を作成することはとても重要な作業になります。
特に創業資金の融資を受けることを検討している場合には、事業計画書の内容次第で融資が受けられるかどうかが決まる、といっても過言ではありません。
事業を成功させるための第一歩として、自社の魅力を漏れなくアピールできる、内容の充実した事業計画書を作成しましょう。
※ここでは日本政策金融公庫の創業融資を受けることを前提として、公庫の創業計画書を参考に項目ごとの内容について解説します。
参考URL:【日本政策金融公庫】国民生活事業各種ダウンロード
事業計画書(創業計画書)に記載する項目
①創業の動機
②経営者の略歴等
③取扱商品・サービス
④従業員
⑤取引先・取引関係等
⑥関連企業
⑦お借入の状況
⑧必要な資金と調達方法
⑨事業の見通し
⑩自由記述欄
①創業の動機
創業にあたって、創業者の事業に対する思いや動機などを具体的に記載し本気度をアピールしましょう。
これまでの経験が葬儀事業と繋がりがあれば、より一層説得力や信憑性が高くなります。
内容についてはありきたりな表現ではなく、自分なりの言葉で書きながら空欄がすべて埋まるように記載しましょう。
②経営者の経歴等
この項目では、創業者のこれまでの職務経験や経歴、保有している資格や身に着けたスキルなど、ビジネスに有益と思えるものを記載しましょう。
葬儀事業に直接関係のある経験等がある場合には強いアピールポイントとなります。
もし関係する経験等が少ない場合には、これまでの経験をどう葬儀事業に生かせるのかを説明すると良いでしょう。
③取扱商品・サービス
取り扱うサービス内容やセールスポイント、顧客のターゲット層などがどのようなものかを具体的に記載します。
例えば、葬式の種類(一般葬、家族葬など)とそれぞれのサービス内容(通夜、告別式など)、それに伴った付随サービス(終活サポートや互助会など)や地域のニーズ(文化や宗教など)を説明します。
さらに競合他社の価格帯やサービス内容を分析したり、将来の市場予測から事業計画をより長期的に見据えることができると良いでしょう。
④従業員
従業員を雇用する予定があれば、雇用形態ごとに人数を記載しましょう。
⑤取引先・取引関係等
予定している取引先や仕入先があれば具体的に記載します。
必ずしも取引先等が決まっている必要はありませんが、決まっている方が十分な準備をしていると評価されるでしょう。
⑥関連企業
関連する企業があれば記載します。
創業者あるいは配偶者の方が経営している企業がある場合に記載する欄であるため、該当しない場合は記載は不要です。
⑦お借入の状況
創業者の現在の借入状況を記載する項目です。
事業に関する借入以外にも住宅ローンや自動車ローン、個人カードローンなどについても記載します。
融資担当者は信用情報を照会するため、記載内容と照会内容が一致するように漏れなく記載しましょう。
⑧必要な資金と調達方法
創業にあたり「いくらの資金が必要」で「必要な資金をどのように調達するか」を記載します。
自己資金の有無や金額、借入とのバランスなどが確認され、計画書の中でも重要視される項目になります。
・必要資金
開業における必要な資金をすべて記載します。
斎場などの設備投資にかかる費用は見積もりを取り、店舗等の賃料が必要になる場合は物件の資料を準備するなどして、すべての数値について根拠に基づいて記載しましょう。
さらに事業開始後、売上が上がるまでの間に必要となる運転資金(人件費や店舗等の賃料)についても具体的な金額を算出しましょう。
・調達方法
資金の調達方法における自己資金はできるだけ多い方が金融機関からの信用度が高くなり、融資の審査が有利になります。
ただし自己資金は通帳などで客観的に証明する必要があり、タンス預金等は自己資金として認められませんのでご注意ください。
⑨事業の見通し
創業当初と事業が軌道に乗った後で事業の収支がどのように推移するのかを説明する項目で、計画書の中でも最も重要な項目といえるでしょう。
記載する金額はできるだけ客観的な根拠に基づき、売上や経費を予測し、最終利益から税金や創業者の生活費を差し引いたうえで借入金の返済が可能であることを説明できると良いでしょう。
例えば葬儀社の売上高でいえば「1ヶ月の葬儀件数×単価」の算式とその根拠(同業他社の平均値など)がわかるように記載します。
別途、月別の収支計画表や資金繰り表などの書類を提出することで信頼度アップが見込めます。
⑩自由記述欄
記載は任意となっていますが、これまでに伝えきれなかった想いを自由に表現できる項目です。
自社の強みやポイントなどを記載してアピールのために活用しましょう。
事業計画書に加えて作成すると良い書類
これまでに解説した計画書の根拠を示すための書類を別紙にまとめるとより説得力が増し、有利になる可能性があります。
特に追加で用意すると良い書類を4つご紹介します。
月別収支計画書
月別に売上高や経費がどのように推移していくのかを示すことができます。
資金繰り計画書
毎月の現金の出入りや増減、借入の返済計画等を示すことができます。
市場調査の資料
市場調査資料とは、地域のニーズや競合他社、市場の状況を詳細にまとめたものです。
必要に応じてグラフや写真などを利用してわかりやすくまとめましょう。
サービスの詳細資料
サービスについての詳細な内容や競争優位性(自社が他社よりも優れている点)などをわかりやすくまとめると良いでしょう。
まとめ
ここまで事業計画書(創業計画書)の項目について解説してきました。
葬儀社を開業するにあたって、創業計画書は事業の成功を左右する重要な要素になります。
まずは自分なりの計画書を作成して、何度も見直して内容をブラッシュアップしていくことで、自社の強みや弱みを見つけることができます。
そのうえで不足している点などを洗い出し、より良い計画書に仕上げましょう。
事業計画書(創業計画書)をご自身で作成することが難しいと感じられる方や、専門家にブラッシュアップを依頼したいと考えている方はぜひ当センターの無料相談をご活用ください。
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