葬儀社を開業するために必要な費用や準備について解説
近年、葬祭業の事業者が増加傾向にあります。
その要因としては「高齢化社会による葬儀件数の増加」「家族葬や直葬など葬儀形態の多様化」「終活意識の高まり」等により、ニーズの増加が予想されるためです。
葬儀社の開業を検討している方の中には、開業するためには一体どれくらいの費用がかかるのか、開業するにはどのような準備が必要になるのか、どこに相談したら良いのか、などの不安や疑問を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、葬儀社を開業するときにかかる費用と必要な準備について解説していきます。
葬儀社の開業にかかる費用
葬儀社を開業する際にかかる費用は、事業規模や形態、フランチャイズか個人経営であるかなど、様々な要素によって大きく異なります。
そのため一概には言えませんが、最低でも300万円以上、斎場を建築するような場合には数千万円以上かかることもあります。
開業にかかる主な費用
一般的にかかる初期費用として以下のものが挙げられます。
- 不動産取得費:事務所や斎場
- 設備導入費:斎場内の設備、霊柩車など
- 備品購入費:祭壇、棺、位牌、焼香台など
- 加盟費・保証金:フランチャイズの場合
- 研修費:葬儀に関する知識や技術習得のための研修
- 広告宣伝費:斎場の宣伝費用
- ITシステム導入費:予約システム、顧客管理システム(互助会)など
運用にかかる毎月の費用
事業規模や地域によって異なりますが、一般的に毎月100万円~500万円ほどかかります。
主な費用は以下のとおりです。
- 人件費
- 家賃
- 水道光熱費
- 車両リース料(霊柩車等)
- 仕入費(葬具、供花等)
- 施設の維持管理費
- ロイヤリティ(フランチャイズの場合)
※フランチャイズの場合は毎月かかる費用の目安を事前に確認しておきましょう
開業に必要な準備とは?
葬儀社を開業するための準備は多岐にわたります。
市場調査からサービス内容の構築、資金調達やマーケティング方法の検討など、綿密な計画と準備が必要となります。
市場調査
葬儀のニーズは地域によって異なります。
まずはターゲットとする地域の文化・宗教・宗派・経済状況等の特性を分析し、その地域に合ったサービス設計を行う必要があります。
また、事前調査として役所で入手することができる人口統計に目を通すことで、その地域に住む方の年齢別構成を把握することにより、どの程度の需要があるかを予測することも可能です。
さらに、同じ地域の他葬儀社の料金体系やサービス内容なども分析し、自社の強み・他社との差別化を明確にしておくことも重要です。
このように、様々な視点から情報を集め、十分な調査・検討を行いましょう。
事業計画書の作成
事業計画書とは、これから始める事業の内容や目標、目標を達成するための具体的な計画をまとめた事業の設計図のようなものです。
計画書の主な内容は以下のとおりです。
- 市場調査結果を分析する:地域のニーズ、ターゲット層、競合他社の状況などを分析し、自社の強みを明確にします。
- サービス内容の検討:一般葬、家族葬、一日葬、直葬(火葬式)など、どの種類の葬儀サービスを提供するのか、さらにどのような付加価値を提供するのか、などを検討します。
- 料金設定:サービス内容に応じた料金を設定します。
- 収支計画:売上高や経費、利益などを具体的に算出して採算性を確保できる事業計画を作成します。
資金調達
開業に必要な資金と調達方法を検討します。
資金調達の方法としては金融機関からの借入(融資)を検討されている方が多いのではないでしょうか。
創業融資のうち代表的なものに「日本政策金融公庫の創業融資(新規開業資金)」と「自治体等による制度融資」があります。
どちらも創業から間もなく、業務実績が十分でない企業でも活用できる制度内容となっています。
融資を受けるためには事業計画書の作成がとても重要となります。
詳細な事業計画書を作成のうえ、融資を受けた資金をどのように使うのか、どのように返済していくのか、などを現実的にかつ具体的に説明できるようにしておきましょう。
当センターでは新たに創業・開業される方の銀行借り入れをサポートしております。
無料相談も承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
設備投資
葬儀社の運営には、祭壇や棺、霊柩車などの専用設備の準備が必要不可欠です。
事業計画書の作成時に設備投資と運用にかかる費用を把握しておきましょう。
人材確保
葬儀社は故人や遺族と深くかかわる仕事であり、従業員一人一人の対応がサービスの質を左右することになるため、遺族の心に寄り添うことのできる共感性やコミュニケーション能力、そして専門知識を持った適切な人材を確保することが理想的です。
もちろん、あまり業界に慣れていないような新入社員に対しては、葬儀に関する知識やマナーなどを丁寧に指導し、人材育成を行うことも大切です。
マーケティング
事業を成功させるためには、開業前のマーケティングが非常に大きな役割を果たします。
また、葬儀社は大切な家族を見送るというデリケートなサービスを提供する事業となるため、他の業種とは異なるマーケティング戦略が求められます。
競合他社との差別化はもちろん、地域社会との連携や信頼関係の構築など、顧客の視点に立ったマーケティング戦略を検討しましょう。
開業する場合の手続き
葬儀社を開業する際には、税務署や都道府県等への開業届の提出が必要になります。
個人事業主として事業を行うのか、法人を設立するのかによって必要となる届出書の種類が異なります。
個人事業の場合
税務署へ提出する書類(状況によって必要な届出書が異なります)
- 個人事業の開業届出書
- 所得税の青色申告承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書 等
都道府県へ提出する書類
- 事業開始等申告書
法人設立を行う場合(状況によって必要な届出書が異なります)
税務署へ提出する書類
- 法人設立届出書
- 青色申告の承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書 等
都道府県・市区町村へ提出する書類
- 法人設立届出書
開業に必要な資格や許可とは
葬儀社の開業に必要な資格や許可は原則としてはありません。
葬儀業務に関する資格は多くありますが、必須ではないため保有していなくても開業が可能です。
ただし、霊柩車を導入する場合には「貨物自動車運送事業法」の許可が必要となります。
申請から営業ができるようになるまでには3ヶ月~4ヶ月ほどかかるため、霊柩車の導入を検討している場合には、その期間を見越して開業計画を立てる必要があります。
まとめ
ここまで葬儀社を開業するために必要な資金や準備について解説してきました。
葬儀社は今後需要の増加が見込まれる業界ではありますが、事業を成功させるためには入念な計画と準備が必要不可欠です。
当センターでは、これから開業をお考えのお客様の資金調達や事業計画書作成のサポートを行っております。
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